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TEC高温側設計

熱電冷却システムの高温側を設計する方法

TECは熱を消すのではなく低温側から高温側へ移し、さらに電気入力を加えます。モジュール不足に見える問題の多くは、理想条件だけで選んだヒートシンク、ファン、風路、接触面、筐体によるTh上昇です。

TECヒートシンク設計Qh計算ペルチェ風路設計
冷却負荷Qc、電気入力Pin、QcとPinの和Qh、ヒートシンク、ファン、周囲空気を示すTEC熱流図

TECはQcを移送してPinを加えるため、高温側はQh = Qc + Pinを排熱します。

1. 高温側がTEC性能を決める理由

Qcは実際のTcとThに依存します。Th上昇はΔTを増やし、通常は能力とCOPを下げます。電流増加はPinとQhも増やすため、排熱限界では逆効果です。負荷、動作点、Qh、Thを反復し、完成装置の最悪条件で確認します。

2. Qc・Pin・Qhの理解

Qcは低温側が吸収する熱で、電力ではありません。Pinは実動作点のV × Iで、電源定格やImaxではありません。高温側総熱量QhはQc + Pinです。

工学的な関係式

Pin = V × I Qh = Qc + Pin
技術比較: 2. Qc・Pin・Qhの理解
記号意味求め方誤り
Qc低温側吸熱実負荷の計算・測定Pin/Qcmaxとの混同
PinTEC電気入力実V × I定格・最大値
Qh高温側総熱Qc + PinQcだけで選定

3. 実際の高温側負荷を計算

定常発熱、侵入熱、製品・液体負荷、過渡プルダウンを分けます。予定Qc、Tc、Th、電流のTECデータからVとIを取得し、QcmaxやΔTmaxを代用しません。複数TECのQhと入口を暖める補助熱も合算します。

4. 必要なヒートシンク熱抵抗

Th,maxは選定動作点、Tamb,maxは室温ではなく最高入口温度です。Rθは初期選定値で保証ではなく、TIM、接触、拡散、ベース、フィン、実風量、再循環、経年、公差を含めます。

工学的な関係式

Rθhs = (Th,max − Tamb,max) / Qh
  • Rθhs:許容ヒートシンク-環境熱抵抗。
  • Th,max:高温側上限。
  • Tamb,max:最高実入口温度。
  • Qh:総排熱量。
  • TIM、拡散、実ファン点、風路、再循環、粉じん、姿勢、高度、経年、公差を含めます。

5. 簡略化した計算例

Qc=150 W、Pin=120 WならQh≈270 Wです。入口35°C、Th上限55°Cなら初期目標は0.074°C/Wです。大型強制空冷、別動作点、遠隔排熱、液冷が必要な場合があり、接触、静圧、フィルター、グリル、再循環を実測します。

工学的な関係式

Qh = 150 W + 120 W = 270 W Rθhs ≈ (55°C − 35°C) / 270 W = 0.074°C/W

簡略化した計算例

簡略化した工学例に限ります。最終性能は、選定したTECデータと完成装置を用い、代表的な最悪条件で検証する必要があります。

6. サイズ・ベース拡散・フィン設計

小さなTEC面から入る熱は薄いベースで局所過熱します。厚さと熱伝導は拡散を改善しますが質量と費用を増やします。フィン方向、間隔、高さ、厚さを風量・圧力に合わせ、複数TECでは熱流密度、温度均一性、締付を確認します。

7. ファン選定と実風量

自由風量は抵抗ほぼゼロの値です。ヒートシンク、フィルター、グリル、曲がり、出口を含むシステム曲線との交点が実風量です。静圧、粉じん、高度、電圧、騒音、故障時の安全なディレーティングを確認します。

8. 熱気再循環の防止

有効周囲温度は入口空気です。吸排気を距離、隔壁、ダクト、プレナムで分離し、フィンのバイパスや他ファンの干渉を防ぎます。最終カバー、姿勢、隙間で煙と入口・出口温度を確認します。

9. 空冷と液冷の高温側排熱

低温側で冷やす媒体と高温側排熱方式は別です。低温側で液体を冷却し高温側は空冷、または固体を冷却し高温側は液冷にもできます。熱密度、空間、騒音、保守、漏れ、姿勢、設備で選び、どちらも万能・無保守ではありません。

技術比較: 9. 空冷と液冷の高温側排熱
項目空冷高温側液冷高温側
能力フィン・入口・実風量流量・冷媒・遠隔交換器
体積ヒートシンクと風路ブロック・配管・ポンプ
騒音ファンと風ポンプと遠隔ファン
故障ファン・フィルター・再循環ポンプ・詰まり・気泡・漏れ
保守フィン等の清掃液、ポンプ、シール点検
統合空気と空間があれば簡単配管・密封が増える
用途小~中負荷高密度・遠隔排熱

10. 熱界面と機械取付

平坦で清浄な面に薄く連続したTIMを使います。セラミックには均一圧縮を与え、曲げや点荷重を避けます。剛性板と管理した締付順序を使い、万能トルクは設定せず、締結、板、TIM、寸法、メーカー指示でサイクル検証します。

11. 高温環境と筐体影響

開放ベンチの冷たい自由空気は実機と異なります。電子部品が入口を暖め、カバーや壁が排気を妨げます。高温地域、高度、粉じん、詰まったフィルター、姿勢、経年を試験し、室温、入口、出口、ベース、Thを分けて測ります。

12. センサー・保護・故障処理

通常の低温制御と高温側保護は別機能です。Thとファン、液冷ではポンプ、流量、温度、圧力、漏れを監視し、故障時は減流、ディレーティング、安全停止します。センサー故障と残熱を考え、TECとファンの同時停止には後運転や再起動インターロックを検討します。

13. よくある放熱設計ミス

主因は境界条件の欠落、試験条件外のカタログ値、変更後の未検証です。

技術比較: 13. よくある放熱設計ミス
誤り影響
Qcで選ぶPin欠落でTh上昇
自由風量を使用実風量不足
再循環無視入口上昇
開放試験のみ筐体内で不足
TIM無視局所過熱
Imax連続Pin/Qh増加
環境等無視余裕低下
Thセンサーなし制御が追加出力
同時停止残熱上昇
冷端液体と熱端液冷を混同誤った配管前提

14. OEMプロジェクト情報

測定可能な目標、図面、運転状態を提示し、TEC、界面、熱交換器、制御、故障応答を一体で評価します。

技術比較: 14. OEMプロジェクト情報
情報提供内容
冷却対象対象とセンサー位置
負荷定常・過渡・始動・ピーク
温度目標・許容・最高入口
機械空間・図面・姿勢
電気電圧・電流・周期
風路吸排気・ダクト・フィルター
環境騒音・高度・粉じん・湿度
保護センサー・ファン/ポンプ・通信
生産試作・試験・年数量

15. まとめ

実動作点のQh = Qc + Pinで高温側を設計します。許容RθはThと最悪入口から始まりますが、接触、拡散、実風量、再循環、筐体、環境、保護が結果を決めます。定常、過渡、姿勢、粉じん、フィルター、故障を完成品で検証します。